March 14, 2024
価格上昇はどうにもこうにも・・・
今日は展示会日和と言って良いぐらいの程よい暖かさの１日でした。まずはノービットからスタートしたのですが、この１年での価格の上昇にビックリ。だってドルもユーロも上がったと言ってもこの１年はどちらかというと高止まりでそこまで変動はなかったので。それでも値上げせずに頑張ってきちゃったからこのタイミングで値上げする、というところは沢山ありますし、クオリティ的には妥協のない物作りという点で他の同ジャンルのブランドと比べて圧倒的な作り込みをしているので、クオリティに対してコスパが良い、という認識をノービットには持っていたのですが、その複雑な縫製仕様のアイテムを縫っている工場は１度作るとコストを上げてもやりたくない、という事で毎回生産工場を探すという事を繰り返していたら、日本でも複雑なパターンワークで知られるモードブランドや海外でも同等のアイテムを作っているハイレベルなブランドの生産を請け負う、高いけどノーと言わない工場というのに出さざるを得なくなってしまっている様で。
つまり最早縫製工賃がドル建てユーロ建てで通る範囲であれば、企画を現実に生産してくれる工場で生産するしかない、という事になり、結果日本円で価格を出すとコスパについては追いかける事が出来なくなってしまったというかコスパを追求する事はやめた、というのが正しいのでしょう。中途半端に妥協してディテールを削って価格を下げたところで評価される事はない、という判断をした、という事です。
なのでこの秋冬で78,000円で出していたムーンツィードを表の層に使った３レイヤー生地のフィールドコートは98,000円、同ベストは58,000円→78,000円と全体的に大幅な値上げになっており。こうなると新作以外は取れないですし、旧作の在庫のコスパが相対的に良くなってきます。そんな中でも幾つかはこれならコスト的にもアイテム的にも良いんじゃないか、というアイテムがありましたので、それは発注するのですが、全体的にはかなり絞り込んだ発注になると思います。とはいえブランドとしての方向性は間違えていないな、と私としては思いました。
私は既存のお客様に対してその収入から日々の出来事迄ある程度把握した上でご提案させて頂いているので、クオリティを上げる分価格も上げて買える層がごく一部のファッショニスタ的な方々だけにしてしまう、という選択肢は選びません。それはその既存のお客様に対して俺の理想とするクオリティはこれだからこの価格について来れないのならお客様でいてくれなくて良い、と言っている様な物ですから。そこはそことして提案しつつ、絶えず一般的なサラリーマンの可処分所得というのを念頭に、様々な日常の出費の中でここまでしか出せないけど他とは被らない服装を楽しみたい人にはこれ、それに比べてもうちょっと出すとここ迄の事が出来てこんなにも楽しめますよ、というミドルレンジのアイテムはこれ、長年通って下さっていたり新規のお客様でも目利きの方にはこのジャンルにおける最高峰として提案するこれ、と幅広く棲み分け出来る提案をしていかないといけないと思いますし、情報過多な現代にあっても検索エンジンの最適化が行き過ぎていて掘り下げた情報は得難くなっているので、興味を持って足を運んで下さったお客様にネットで得られない情報や知識をお話ししてその趣味嗜好を拡張出来る様にしていかないと、既存のお客様を維持しながら新規のお客様を増やす、という事が難しくなってしまいます。
でもブランドはそうではないので。クオリティを維持するのに物価高や原材料費の価格上昇が足枷になるのであれば、それを打ち破ってクオリティを優先する、という判断の方が私は良いと思っております。どれか１つしか選べないのであれば迷う事なくそうしないと発展性はないな、と思いますね。じゃないと知名度のあるブランドネームを使ってクオリティを落としても価格を維持出来る程度の物を売っていくしかなくなってしまいますから。そのゾーンはそのゾーンで元々そう言ったクオリティとコストのバランスを重視してロープライスレンジなアイテムを提案しているところがありますから。
という事でノービットはそんな感じですが、取るには取るのでお楽しみに。でも相変わらずで本日の段階で資料は出来ておらず、明後日迄にデータを送るとの事でしたwww
そしてインポート中心の展示会の方なんですが、基本もうここは予めデータを頂いている既存の取り扱いブランドが多く、一通り発注を組み終わっているブランドの方が多かったのですが、それでも幾つか見ていない物もあり、色々と楽しんで参りました。もうお腹いっぱいなので発注はしませんが、ポルトガル生産でグッドイヤーウェルト製法の靴をアンダー４万で提案しているブランドとか、とてもそそられましたが今はそれを発注してはいかん！と己を戒め、オマージュグラフィックのシリーズにムービー系の新柄が出ていたのと、長袖Ｔシャツのボディが良い感じだったのでそれは後で発注しないとな、とか思いつつ、ロンドントラディションのダッフルコートを珍しい柄で発注する事にしよう、と思いながら生地スワッチを確認したり、デッカの靴下の刺繍シリーズに新しい刺繍でヴィンテージマックとジョブスとかキングコングと自由の女神とか相変わらずのおちゃらけたデザインの物が提案されていたのを見て笑ったり、まぁ楽しんできました。
ただ結果としてこのタイミングで本国から提案されたスペシャルな生地のルミノアのヘヴィウェイトがあり、その中にかつて無かったパールグレーの無地とか３色構成の物とかがあったので、それは本日先程数を押さえるべく発注しときましたが。それでも12,000円→16,000円に値上がりしておりましたし、グローバーオールの限定アイテム、今シーズンは発注を控える事にしたのですが、それはミラレインのドライワックスのコートでライナー付きとはいえ13万になっていたから。仕方がないとはいえ、だったらもっと他に予算を使って、他には一切取り扱いのないスペシャルなインポートアイテムを直取りして、例えば同じ10万円台でもクオリティとコスパの両方を追求してこれはこの額を出してもお得だった！と思って頂けるアイテムを提案する方が良いな、と判断しました。同じ様な理由で取らない判断をした物が他にもありますが、生地の性能が上がってライフスタイル的にも厚着をしないとなると既存のトラディショナルなアイテムだけを提案してもリアルクロージングから乖離していってしまいますから、その辺を悩ましくも考慮してセレクトしていかないといかんな、と改めて思った１日でした。
という事で本日はこんな感じで。明日はどうにも危なそうな気がするのでノルディスクの新作の長袖Ｔシャツ、とっとと紹介してしまいます、お楽しみに。
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