September 11, 2024
晩夏初秋の新作紹介 vol.12 CONCORDの1950's MA-1 (80's Dead Stock)
暑いには暑いのですが、猛暑日に届かないだけで秋が近づいている気分になるのは錯覚なんですが、それでも季節は進んでいると思い退去この頃。何言ってんだ、と関西以西にお住まいの方には思われる事でしょう、大阪も京都も連日猛暑日が続いているみたいですし。ただここの所いくつか発生している台風が日本本土を直撃しないだけでもまだマシかな、と。ここで収穫前の米がやられたとかいうニュースが出ると高止まりしているお米の価格が下がりませんので。豊作になれば結果的にその高音も落ち着いてくるでしょうから。
そんな中で秋物の半袖Ｔシャツの動向がある程度判ってきました。といってもそれほど種類を取る訳ではなく、ヘヴィウェイトボディでこれはという物を長袖Ｔシャツと同時に取ろう、というのが基本。それに対して今年の気候を見ながら、この時期からでも欲しい！と思えるロックＴなんかを取るかどうかを検討している、という状態です。ヘヴィウェイトボディというのはこれステイクリエイティブの事で、今シーズンはカルトムービーとして名高い“ドニー・ダーコ”と日本でも人気を博したウォン・カーウァイ監督の“天使の涙”(The Flying Picketsのアカペラによるオンリーユーは沁みます！)の２本立て。このブランドの映画のセレクトは縦横無尽で脈絡はありませんが、どの映画も良い映画です。そして良い感じにＴシャツに仕上げてきますからこれは良いな、と思ってしまいます。布帛アイテムも非常にレベルが高いですし。ただ今月内の納品が目標との事で、半袖が９月末かぁ、と思わなくもないのですが。
それに対してロックＴ中心に独自で投入を考えているメインのネタはオアシス。再結成が発表され世界的に注目を浴びているだけにここはタイムリーにぶつけておこうかと画策中。でもそれだけで取るのもなんだから夏に取らなかったけどそれはロックＴのキャパの問題だったので、合わせて取るならレディオヘッドの豪華なヤツを２型ぐらいと何かしらか面白そうな映画Ｔとかもチョコっと足しておこうかな、と思っております。ただここからで取るべきか取らざるべきかが悩ましいですねぇ。とはいえ今週末迄には決めねば。
それとは別に納期の現状が判明したのがリプロダクションオブファウンドの今シーズンのスペシャルなジャーマントレーナーの納品が今月末を超えるんじゃないか、という状況にあるらしい、という事。なので今月来月とスニーカーの納品が２ヶ月に渡るかもしれません。今月はNANGA×flower MOUNTAINのがあるので。今週末のルミノアの納品はほぼ確実になっているみたいですし、明日にはnarifuriの大人気長袖Ｔシャツであるマルチテックワッフルの新色の入荷がありますが、現段階で既にB.A.Tでセレクトした３色はＳサイズが既に各取扱店に振り分けたら完売していてメーカー在庫なし、Ｍも残り僅かになってました。
さて、そんな中でそりゃ１着だけしなければそりゃあっさり入荷１週間保たずに売れちゃうわな、というスペシャルなブルゾンが本日の紹介です。
まずこれを見てモデルの年代が判る方はミリタリー通でしょうね。一般的にフライトジャケットと言えばの通称として使われている感すらあるMA-1ですが、本来フライトジャケットは戦闘機の開発史と共にデザインの変遷があって、しかも海軍と空軍とで使われている戦闘機もフライトジャケットも違います。何年にどのモデルが採用され、それをなんというメーカーが納品したか、という歴史を知らずしてヴィンテージは勿論ですがヴィンテージレプリカだって良し悪しを評価出来るはずもなく。あくまで作り手側・取り扱う側としてですが。
第二次世界大戦末期、レザーのフライトジャケットから切り替わって米軍がインターミディエイトゾーン＝汎用モデルとして使っていたのはB-15というシリーズでして、1944年４月にB-15が採用され、その半年後の11月には改良版のB-15Aが採用されます。この時点ではジェット戦闘機は米軍にはありませんのでプロペラ機のパイロットたちが着用しております。この当時はまだミリタリーウェアの巨大メーカーというのが存在しておらず、軍主導で作られておりました。しかも米陸軍航空隊が空軍として独立したのも1947年9月18日の事。つまりそれまでは空軍ではなく、海軍航空隊と陸軍航空隊しか存在していないって事です。で、今回紹介しているMA-1と同型モデルは1952年にMIL-J-827として採用されておりますが、その同じ年に米軍初のジェット戦闘機としてノースアメリカン社が製造したF-86Fセイバーが飛行に成功します。それ考えると原爆作るよりもジェット機を自国で作る方が難しかったって事になりますよね。そりゃシュトロハイム少佐をしてナチスの科学は世界一ィィィィ！と言わしめる訳だわ。
とは言え、戦後の戦闘機の歴史のメインストリームは欧州の名機も多数存在しますが、米ソが中心となり、アルファインダストリーの前身であるドブスインダストリーがMA-1の生産を開始したのが1958年。翌年の1959年にテネシー州ノックスビルに移転してアルファ・インダストリーに改名して操業を開始して、現在のアルファに繋がります。因みに米軍のフライトジャケットのオフィシャルサプライヤーとして現在も残るアヴィレックス社はベトナム戦争終結1年前の1974年に創業しベトナム戦争終結の75年にブランドをスタートしております。しかも珍しいケースで基本は大戦以前からのレザーのフライトジャケットを復刻して販売するヴィンテージレプリカメーカーだったのが、クオリティを認められて1987年に空軍設立40周年記念のA-2を200着納入して晴れてオフィシャルサプライヤーとなっておりますから、実戦投入されている多くのフライトジャケットはアルファ・インダストリーズ社製です。とは言え今となってはその肩書きを金科玉条のように掲げてアジア生産のファッションとしてのフライトジャケットを作るのがメインビジネスになってしまいましたが。
さて、という事でこのMA-1の1stモデルのレシピを元々持っていた現存する唯一のメーカーなのがアルファ社な訳ですが、1980年代に民生品としてヨーロッパ市場に売り込む為に米軍納入メーカーの作るそのままというのでは差別化が図れず問題になる、という事でネームをコンコルドに変えて作ったのが今回取ったMA-1の正体です。しかもこの80年代というのは77年・81年・82年とアルファ社が米軍の被服部門で品質有料業者賞を獲得し、後の2年は連続表彰されて殿堂入りしてしまった時期でしたが、ベトナム戦争も終わり米軍納入量がベトナム戦争当時よりもはるかに減少しており、結果としてヨーロッパ市場に目を向けた年代です。しかも米国製品を欧州に売り込むという目的もありました。
そのメインのアイテムは70年代モデルとして知られる浦賀エマージェンシーオレンジになってリバーシブルファスナーが付いたMA-1です。これは80年にスティーブ・マックィーンの遺作ハンターで彼が着用した物であり、オリーブグリーンの裏がオレンジのコンコルドネームのMA-1は、今デッドストックで出てきたらとんでもない価格になるでしょう。1986年のトップガンでトム・クルーズが着用したのはスポンサーであったアヴィレックス社のレプリカでワッペンも滅茶苦茶な組み合わせでしたが、そちらも70年代モデルのデザインでした。
なので今回発注したのは私としてはこの70年代モデルの黒×オレンジの物と、受け取った画像では裏も表もアーミーグリーンの物だったので、1978年にMA-1がフライトジャケットとしての採用から外れ、グランドクルー用として採用されたMIL-J-8279Fという仕様の物だろうけど、それでもコンコルドネーム＝米軍採用品と同じ米国製のデッドストックという事で黒よりも少なくですけどサラッと発注しておいたんです。ところが。納品前の情報でグリーンは１着だけしかない、となっていて、まぁメインは黒×オレンジだしね、と思ってでも１着だけなんて扱いに困るよなぁ、と思っていたんです。ところが届いてビックリ。
そもそも色が全然違う。グランドスタッフ用は裏がオレンジじゃなくなってファスナーもリバーシブル仕様じゃなくなってますが、色は同じオリーブグリーンでポケットはフラップポケットになっている以外はシルエットも同じはずなのに、これ色がスチールブルーじゃないですか。まぁセージグリーンに見えなくもないですけど。そして梱包の袋から出してみたらB-15の最終モデルB-15Dから襟を外しただけ、ジェット機以前＆ジェット機初期の機密性が低く気圧を一定に保てない為酸素マスクをしていた当時のホースクリップをつけるタブが付いてますし、ポケットはフラップ無しの片玉縁、両ポケットの上に着いたヘルメットにジャックで挿していた通信コードを留めるタブも付いていたので、こりゃ50年代モデルじゃねぇか！！とビックリ仰天、てかこれってコンコルドで作られていたのか？？と調べてみたら、英国のヴィンテージミリタリーサイトでB-15Dもコンコルドネームで作っていて、逆にMA-1は70年代仕様が圧倒的な生産量なので極少数ですが50年代モデルもある、という事が判明。
うわ、こりゃどうしてくれようか、ファッションとしての合わせ易さや判り易いMA-1のディテールとしては70年代仕様の黒×オレンジ、ゴールデンサイズのＭとＬで取っているのでこちらの方が上ですが、ミリタリー好きでヴィンテージディテールに萌える方はどうみてもこっちの方がそそられちゃうでしょうし、そもそも市場に出てきませんので(もし再度取れるなら来春夏の資料にあったらドカっと発注してやろうと思って見てみたのですがあっさり何もありませんでしたw)、こりゃ目端の効くバイヤーさんが米国で実物見てたら嬉々として全押さえとかしそうですもん。見た目に典型的な現行アルファやアヴィレックスのMA-1と差別化が図れてより本物志向の40年程前のデッドストックともなれば。
とはいえ、こんな経緯で１着だけ入ってきたんですけど、ここで欲を出してこいつだけ高値で売ってやろうとかは私のポリシーに反しますので。なので黒×オレンジと同様に33,000円(税込)でお売りしました。それもあってお買い上げの方はブログチェックが偶々数日出来ていなかった様なのですが、読んですぐにラインで問い合わせが来まして、あると言ったら即行押さえられました。こういうのが出てきた時は下手な睨み合いや逡巡をしていると決断の早い方がサクッと押さえてしまいますので、即断即決をした方が良い、という好例になってしまいました。
今月後半には在庫の減り具合を見つつ、黒×オレンジの方も紹介しようと思っております。これはこれで春夏のデッドストック業社の資料を見ても枯渇しており、今後手に入らないであろうアイテムです、ヴィンテージレプリカとも違う、実際にこのモデルを米軍に納入していたメーカーの同じ工場で作られた鉄板ミリタリーアイテムです、見た目にはアジア製の今の物との違いを判る人は少ないでしょうけど、その判る人には判るところを懐具合を鑑みつつぶっ飛んだヴィンテージ価格ではなく、リアリティのある価格で提供されているのであれば押さえておくべきアイテム、と私は思ってセレクトしております。ま、少なくともこの価格では今後提案出来ない再現不能アイテムですので、紹介を待たずに黒×オレンジ、チェックしにお越し頂ければと思います。
さて長くなりましたが、来週は展示会あるんですけど今週は谷間になってしまい。ですが前述の通りでnarifuriからの納品もありますし、定休日にはしておりますが17時には店に来て納品を受け取りブログを書いている事でしょう。是非お時間の合う方はお立ち寄り下さいませ。
アイテム紹介ですが、明日は現場の気候に合わせた紹介に戻して、来年２月の来日公演が決まってチケットもほぼソールドアウトしているグリーンデイの豪華なＴシャツをこのタイミングで紹介します、お楽しみに。
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