Le mercier de B.A.T

September 15, 2023

晩夏初秋の銘作紹介 vol.20 The Chino Revivedの60/3 Chino Semi-Slim Pant (1st Signiture Model)

気温は暑いのに15時頃から雨は降るという嫌な天気。しかも18時過ぎには窓に当たる雨の音がかなりはっきり聞こえるレベルでしっかり降りました。とはいえその分夜には気温が下がったのかな？と雨のせいで湿度が高く今ひとつ実感はないのですが多少そんな気もする、という程度にはなっており。今日は忙しく過ごされていたちょいと遠方のお客様がいらして下さり、とはいえまだこの暑さなので秋冬アイテムを押さえるのはなぁ、と言いつつベルトや麻のスウェットを検討してベルトをお買い上げ。そしてここのところの傾向で、昨日ブログに書いたからか本日は靴、革靴のチェックにいらした方が何故か複数重なっておりました。マッドガードと価格に大差がない、という事でラインナップされているトリッカーズをチェックしていかれた方、フランス靴の方が足に合う、という事でマリンジェやガティーヌをチェックされていかれた方、それぞれ違った方向性ながら今の内であれば本来の目的に見合った価格で本格靴が買える期間の猶予はそれほど残されていない、という判断をする方が増えてきているのかもしれません。

さて本日の銘作紹介ですが、実際に一度も紹介しておりません。というのもこれ、ピッタリ10年前に取ったアイテムなのですが、当時はここまでガッツリブログを更新しておらんかった事もあり、定番だったから敢えて紹介しなかった、という事もあり。それを敢えてこのタイミングで紹介しよう、と思い立ったのには少々今シーズンの取り扱いアイテムにも通じる、９月５日頃から２日間ぐらい面倒な問題が発生した、と書いていた問題にも関連しておりまして。

ザチノリバイブド、ブランドスタート時から10年間発注を続けてきましたが、国内での取扱う個店が近年B.A.Tのみになっており、百貨店の都合(買取予算を０にする)で三越・伊勢丹の旗艦店舗での取り扱いがなくなったのは不幸ですが、ブランド発足当初は数十件あった国内取引先がなくなっていったのには、海外への出荷(１シーズン分一括納品)や大手百貨店規模の予算繰り(一括納品で受け入れる店はほぼ皆無ですw)を標準的で当然なものとして、日本で接客を必要とする見た目にベーシックだけれど作り込みをしているアイテムを取り扱いたいという情熱を持つ店に対しその条件を突きつけ百貨店同等のミニマムを設定した結果、その数十件が取り扱いを止めてしまったというのが否めず。B.A.Tでは一括請求ではなく基本本来納期であるべき月ごとの３回に分けての請求という条件で、倉庫代を払いたくないから一括納品させてくれという要求を受け入れ、その百貨店同等のミニマムをクリアできる量を発注して取引を続けて参りました。

そのベーシックでオーセンティックな物作りに反して、毎シーズン継続品番以外の全型のシルエットを変えてしまう為、一つのシルエットを気に入ったお客様が次に生地で気に入ったモデルを買おうとしてもシルエットが違ってしまい、それもまた取引先が減っていった要因でもあります。トレンドを追求するその姿勢はそれはそれで素晴らしいと思いますし、私はそれでもお客様にその違いを細かく説明してお買い上げ頂ける自信があるものだけを取ってきましたが、多くの欧州パンツメーカーは例えばベルナール・ザンスであればウィリアム、テレリア・ゼッドであればキャピタルとか、基本的にシルエットを複数揃えつつ、それに生地を当て込める状態で展示会で発注というスタイルです。結果そのシルエットにお客様が付き、生地を変えてそのお気に入りのシルエットを買うからこそブランドが成り立っております。毎回シルエットを変えてしまってはお客様の好みでなんか今回細いとか太いとかシルエットが好みではないとかそういう問題が発生しますが、ベーシックなのにトレンドを意識して生地だけではなくシルエットやプリーツの数をいじっているのだから我こそは最先端トレンドなのだ、という自負が彼にはあるのです。しかもピッティに出展してイタリアを主戦場にしているので、イタリア人好みのピタッとしたシルエットを基調としていてモデル毎にいじってはいるけれどその範疇を出ないのです。

私はそれでもその神経質なまでの生地とシルエットの組み合わせに対する推敲をリスペクトしておりますし、クロージングの取り扱いもありビジカジを念頭においたジャケパンスタイルを好むお客様への提案を考えればそのシルエットの限界(クロージングから完全なカジュアル迄を含め全体としてはリラックスシルエットが主流ですからねぇ)も許容してきましたが、本来の納品時期に納品したとして支払いを３回に分ける(調べてみたら4年目迄は自ら３回ぐらいに分けた納期設定してますw)のはお前のところだけだ、と常々不満だったんだそうで。それだからか２シーズン前のコロナ禍中に突如お前のところだけその条件でやるのは気に食わんからもう展示会来なくていいぞ、というメールがきたので他との兼ね合いもあるから一括納品一括支払いなんてのは出来ませんのでじゃぁ長らくお世話になりました、と止めるつもりで返信したら展示会３日前ぐらいに条件は今まで通りで良いから展示会に来てくれと謝罪もなくメールしてきて、物が悪い訳じゃないから大人な対応としてシレッと展示会に行って継続展開してきたのです。

そんな中今シーズンの展示会が２月にありましたが、その際に今年は10周年だから10周年モデルを出したい、そしてテーラードジャケットはB.A.T以外の日本での発注が長らく０なので継続展開を断念したが、ジャージが好調なのでトラックジャケットを提案したい、ただそれらはいつものミニマム(ぶっちゃけると１シーズン30本以上という設定です！)とは分けて＋αとしてオーダーして欲しいとの事。なのでその分１回多く分けないと月々の御社に振り分けられる予算が組めないから４回に分けて良いか？と聞いたらそれで良いと言われてその通り発注。ちなみに通年9・10・11月納品の設定で翌月支払いというスケジュールだったのですが、８月末には上がるというからじゃあ8・9・10・11月の４回納品の設定で9・10・11・12月末支払いという事にして２月の時点で了承しておりました。ところが７月20日過ぎにメールが来て8月末一括で送るのが間に合わず９月７日になるのを了承してくれとの事。いやそれは構わらないが月末締めを跨ぐのであれば、支払いも１ヶ月ずつズラして下さいねと“お願い”したら即レスで月々払ってくれるなら結構ですとの事。そのまま９月５日迄連絡がなく、いきなり９月５日に再考してみたら７日遅れただけで１ヶ月ずつ支払いがずれるのは納得がいかない、お前のところだけが分割しているのを容認して“やっている”のに１週間遅れただけでそんな“ペナルティ”を要求されるぐらいなら８月納品予定だった分はキャンセルで結構！！というメールが来まして。

いやいやいやいや、なんですか？ペナルティって。そんな事全く考えた事もありませんよ、月末締翌月末払の契約だから月跨がれるとそりゃずれちゃうよね、それを例えば８月９月分をまとめて取った事にして払えとか言われても月予算が狂うからこちらが納期をずらした訳じゃないので１ヶ月ズラしてね、とお願いして了承しましたよね、それを１ヶ月以上経ってから納品２日前に、10周年記念モデルあるよ、とかジャージの上あるよとお客様にインフォメーションしてあるのに今更なんですか？そんな健常者はやらない信義則に反する事をされるなら取れません、しかもその10周年記念モデルが８月末納品設定になっているのにそれインフォメーションして取らないと身動き出来ない状況になってから理不尽で身勝手な要求をするという態度には到底承服出来ません、と返信しました。そしたらだったらやるなとか言い出すんでこりゃもうダメだな、と私も覚悟を決めて(こういった場合の裁判の判例が沢山ウェブ上にあったので見たら信義則に反しているのは先鋒だという判決になるという確証もありましたし)、ではお客様には事情を説明して(突然の一方的な取引停止はブログにも書くと伝え済みです)今シーズン以降の納品は無し、という事で、となりました。

そしたら翌日になって、お客様に迷惑をかけるのは不本意だから８月９月の２ヶ月分を合算で払うのなら今シーズン分だけ納品“してやる”がどうだ？という２シーズン前の展示会前に見たのと同じようなメールが来ているじゃないですか。ただ自分の理不尽な主張を繰り返して何ら恥じないそのメールに呆れつつ、こりゃ今取ってもまた来春夏の時期に“うちのアイテムがないと大変だろうから納品してやろうか？”という何でそんな上段から言ってきてんだ？？という事を言われるだろうし、展示会にも来いとか言われるだろうからもう止めよう、と決断し、それは何も譲歩なんてしてませんよね？別に１週間遅れたから１ヶ月支払いが後倒しになったのではなく、月末を跨いだからそうなったのであって、それも全部まとめて納品しようとせず、上がっている品番があるならそれを８月納品予定と入れ替えて納品させてくれとか、７月の段階で納得がいかないのであればその時に交渉する分にはお互い納得のいく条件を話し合えたでしょうに、それをせずあっさり受け入れておいてギリギリになって自分の主張は当たり前でもっともだなんて主張してこちらに非がある様に書いてますけど、どれ一つとってもこちらに非はありませんから、お願いして取る立場ではございません、と返信しました。そしたらじゃいいですぅ、と返信がありちゃんちゃん、という事に。

長々とその経緯を書いてきましたが、すいません、もうちょっとお付き合い下さい。
こちらも納得のいかないところがあって、それだけオーセンティックな物を作っておいて毎シーズン自社サイトでセールをしてしまいますし、半期で叩き売って損切りするのが当たり前、という百貨店ベースな発想でしたし、B.A.Tは基本セールをしないというスタンスで10年経っても価値のある物を売っているつもりですし、私はザチノの物作りへの姿勢は高く評価しているから接客なしには売れるはずのない(インフルエンサーが勧めているからとかファッション雑誌が勧めているからとか低レベルな理由で試着なしに買い物が出来るお客様は弊社の顧客にはいらっしゃいませんのでw)物をセールしないで売ってきました。なのでこの10年間分の完売しなかったアイテムはシーズン毎に店頭に並びますし、これ以上仕入れなくても５年は売り続けられるだけの在庫があります。ですから10年前ブランド発足時にザチノリバイブドがシグニチャーモデルとして大々的に雑誌広告を打ったりして出したファーストモデル２型のうち、細いピタピタスリムではなくよりオーセンティックなセミスリムモデルの方を２色展開していたので、それがこうやって店頭に並んでおります。

それに対して10周年記念モデルというのはこの当初作った定番用の生地がもうなくなっていたので、2021年の秋冬から新定番として提案したけれど縦糸と横糸の色を変えて織ったツイル(つまり単色で織るのが定義なチノ生地ではない)が私は違和感があり展開しなかったのですが、結果日本での取扱店0のままオフィシャルサイトでだけ売られていたんですけど、数年展開する分の生地を織る予定だったのが追加では織れず、それでも継続展開する予定で多めに織った生地が余っているので、その生地を使って10年前のシグニチャーモデルのパターンのうち細いスリムモデルの方で作って結果的に支持を得られなかった生地を使い切ろう、という趣旨でした。まぁB.A.T的にはストレッチの入った生地じゃないと履けないだろうスリムシルエットのパンツではあるけれど(だから取り扱いを開始した10年前も発注しなかったシルエットではあるけれど)、3年前に新定番として数年以上継続するとして打ち出した生地は横ストレッチ入ってますし、折り返すと裏が白くてチノパンとしては微妙ですが、まぁ記念アイテムだしザチノリバイブドを買って下さっているお客様に記念アイテムとしておすすめしよう、という事で発注したもの。

という事でだったらこの際だから初心を思い出してくれれば良いのだが、と思いつつ、10周年で10年前のモデルを復刻する！という謳い文句ならばこれこそが今ではもう作れないオリジンオブオリジンの10年前のモデルな上、スリムモデルよりも今の時代間に会っていると思われるセミスリム、細いまま裾までストレートに落とすのではなくトラッドを意識した若干ゆとりのあるストレートモデルですので、是非チェックしてみて下さいませ。ちなみにタンの方は82・88・91(これメーカーにデッドストックとしてあったのをお客様からのリクエストで取ったのですがサイズが合わず在庫になりましたw)の３サイズ、オリーブの方は79と82の２サイズの在庫があります。82はゴールデンサイズですし、最近コロナ禍の影響もあって第３次成長期(w)を迎えて以前のウェストでは履けない！という方に人気で真っ先になくなる88サイズとそれを超えた方、もしくは太ももが太くて心配だから91があるなら！という方にもおすすめです。当然の事ながら当時のままの20,900円(税込)です(因みに10周年記念モデルは29,700円)。

今後未紹介なのが判明している物は勿論ですが、現在では高くなってしまって再現性がないが故に作られていない生地を使った過去のザチノリバイブドのパンツ、順次銘作紹介でおすすめして参りますので、是非チェックしてみて下さいませ。

さて、明日からは３連休。このタイミングでそろそろ晩夏初秋アイテムをチェックしにいらしてみては如何でしょうか。見た方が我慢出来ず押さえてしまってサイズが欠けてきたり在庫が減っている未紹介アイテムが複数出ておりますので。皆様のお越しをお待ちしております。

そして明日明後日は明日から販売開始となるホワイトマウンテニアリング×ブリーフィングのバッグの紹介を予定しております、お楽しみに。

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