October 07, 2018

秋の新作紹介 vol.8 WILLIAM LOCKIEのGeelong Lamb Crew Neck Border Sweater (B.A.T別注)


流石に32℃は暑くはあったのですが。でも湿度が低いのと台風通過の影響か、風はあったのでそれ程暑くてたまらん、という事もなく。更に台風から変わった低気圧の寒冷前線が通過して急速に気温が下がっております。下がった所で20℃切らないんですからこの時期としては異例ですが、それでもかなり快適です。

さて連日入ってくるよ、入ったよ、と告知を続けたウィリアムロッキーのセーター。今度こそ、3度目の正直というやつで本日は紹介をさせて頂きますが、まぁこういうのって書くと長くなるのがもうお約束の様になっており。とはいえ長い話になるのでとっとと書き始めます。

今回別注するにあたって、事の起こりはまずは昨年の同じ英国のニットメーカー、ブラックシープのラインナップの話からでした。ブラックシープ、マフラーやグローブ等の小物類は商社からの別注企画という事もありしっかり上がってくるのですが、ハンドニットのセーターやベスト、ここ数年発注をしても全く上がってきません。代理店もそこは気にしていてマシンメイドの方で40年位前の英国のカタログに記載のあるボーダーのセーターの企画を進めておりました。ブラックシープ、マシンメイドでも羊毛自体はその名の通り顔が黒いイングランドで交配されたサフォーク種の自社羊毛だけで作られるセーターが売りなのですが、結果として価格の折り合いがつかず、更にミニマムが大きかったのでド定番色しか組めず、ボツに。

さて一応ここ数年取扱いをしていなかったボーダーのセーターというのでミドルゲージでもハイゲージ寄り、という切り口に期待をしていたので、こりゃ残念、でも何かしらないかな、と思ってはいました。そして今年になりウィリアムロッキーの代理店が代わり、そこから全ラインナップのサンプルを取った上に現当主と娘さんが来日しているので是非見にきてくれ、というお話が。正直ウィリアムロッキー、創業が1874年と明治初期に創業して現代迄家族経営が続く、スコットランドの老舗ニットウェアメーカー、知名度も高くクオリティも高いのですが、グレンマックやコーギー同様カシミアニットを主力にしていて、その分ラグジュアリーで高価格な物が中心というイメージがありまして。

更にハイゲージのウールだったらイタリア勢、フィリッポデローレンティスやウンベルトバラーティのスーパーファインメリノのシリーズもあります。そしてミドルゲージなら同じ英国羊毛だとハーレーに毎シーズン無地は出しているので、そのゾーンは価格的にもハーレーから切り替える必要性はなく。メリノウールで比べたらイタリア勢よりも高値だし、ベーシックなラムウール物だとハーレーよりも高値。どうしよ・・・というのもそんな訳で新代理店様が大手セレクトショップチェーンのバイヤーを相手に売り込み攻勢をかけるべくネゴしていて、今シーズン、結果としてビームスもユナイテッドアローズも伊勢丹もみんなやってます。別にB.A.Tがそこに一緒に乗っかる必要性は全く感じませんが、ユナイテッドアローズの別業態を統括していらっしゃる某カリスマバイヤー様がチェックしていた物に私も引っ掛かりまして。

それはジーロンラム。ジーロンはオーストラリアのジーロン市にしか生息しないペディグリー種の羊毛の事。ラムなので生後6ヶ月未満の子羊から最初に取れる柔らかく高番手な羊毛であり、ラムウールといわれる物の中で文句なく最高峰の物です。元々希少種なので単に細番手の糸を集めるのなら頭数の多いメリノ種の羊毛から選抜した方が効率よく均一な毛が集まりますが、こちらは番手を分けずにニット糸にしたものが中心。特にウィリアムロッキーが使用しているのは原毛を輸入して英国で紡績したもので、徹底して品質管理下にあります。これだと安価なラムウールよりも希少性とクオリティとしての価値があり、比較対象となる取り扱いブランドであるアランペインのジーロンと比べても、英国製という点で若干価格は上回りますが、現在のアランペインの価格だとほぼ変わらないという事が判明。だったらジーロンなら良いかなぁ、と。

で、ここで最初のブラックシープのボーダーセーターの話に繋がるのですが。そのままやったら某店と展開色が違うだけでアランペインとハーレーに挟まれる形で単に糸の良さだけを謳う事に。それはわたしの本意ではないというか、皆様にも意味はなく。そこで色々サンプルを眺めていたら、なんと何処かで見た様なボーダーのセーターがあるじゃありませんか。しかも聞いたら小ロットで構成色の指定が様々な糸帳から可能との事。え、じゃぁこれジーロンでやったらいくらなの?となりまして。そしたらそこ迄大差ないというか2,000円差でした。そう、ジーロンは無地でも23,000円程するのです。だったらここは糸帳とじっくり睨めっこして今迄発注してきたアイテムとバランスとって、これは!というボーダーの配色を2種類組もう、という事になりました。

その結果がこれ。

まず糸帳から選ぶのに単色の糸は除外しました。こいつまたかよ、と思われるかもしれませんが後染めで出来る単色の糸に対し、メランジの入った糸は先に染めた羊毛を撚る際にミックスしてしか作れません。だったら少しでも付加価値を上げておこう、という事でメランジの入った糸のみに限定。そこからまず基本としてベージュ&グリーン系で1色、ネイビー&ブラウン系で1色組む事に。

左の方はマーブルとベイリーフという2色の組み合わせ。一見普通のベージュに見えますが、細かく緑の糸が散っています。なのでグリーン系との親和性が高く、逆にベイリーフという色糸には緑にベージュを混ぜた色、カーキに近い糸がミックスされております。その2色を組み合せる事により、単色のベージュとグリーンを組み合せるのよりも、メリハリは利きつつ連続性というかグラデーション迄はいなくても繫がりがあってしっくりくるというベージュ×グリーンを指定。

次にネイビーですがあまりにダークにするとメランジが目立たなくなるもしくは全然違うネップを入れた物になってしまうので、若干インディゴに寄せてナイトスカイという色でジーンズとの親和性を進めました。元々ボーダーのセーターってどちらかというとそれ迄の伝統に対するアンチテーゼ的な柄の提案です。曲線で構成される人体、そして縦長の人間に対してボーダーという柄は、スポーツウェアに使ってレジメンタルの様に学校や学年や学部を示す物にしたりはされていましたが、それをファッションとして使うというのはアイビーやプレッピーに通じる前衛的な提案でした。それだけにどうやってもボーダーのセーターというのはトラディッショナルな提案というよりも大人カジュアル、カジュアル素アイルを上手い事トラッドに寄せるとか、逆にクロージングスタイルをカジュアルに寄せるとか、そういう提案になってしまいます。だったらそのポジションに立脚した提案の方が新しくも汎用性が高い物、という事になろうかと。

で、インディゴに寄せたネイビーに合わせる茶系をレンガ、赤茶系の色にする事に。それがまた複数ありまして、どれでもぶっちゃけそれなりにまとまるのですが、これ良いなぁ、と思ったのがその名もタイガーという色。オレンジ系の毛色の虎をイメージしている様ですが、これが見ての通りの実に落ち着いたオレンジ系でして。素敵な色なんです。なのでこの2色を組み合せて秋らしくそれでいて元気良くスポーティでありつつコントラストははっきり出るけど使い易いボーダーというのを提案する事にしました。

今回はレディスサイズである34、メンズのSに対応するであろう36から38・40と4サイズ展開ですが、今日の段階で見にいらしたお客様がこれはこの気温下でも押さえておかないと無くなりそうだ、という事で押さえていかれたので、これだけ拘って作った別注にも関わらず、サイズ欠けはしていないもののかなり少なくなっております。サイズによってはらす1になっていますので、明日は7℃以上最高気温も下がる事ですしお早めに。あ、そういう訳で価格は無地より2,000円アップの25,000円(税抜)です。

さて、今回インポートのニットウェアメーカーに関してはマフラー等のニット小物も含め、1つの条件の下に集めております。それはこのウィリアムロッキー、ロバートマッキー、ピンと今シーズン本格的に取扱いを始めた所は全て19世紀、1800年代後半から現代に至る迄大資本傘下に買収されず、家族経営で自社工場を維持し続けている老舗である、という事。それでいて今尚新しい提案をしているのですから、伝統にあぐらをかいた経営ではなく温故知新の精神を持ち続けて今に至るのでしょう。この点からもウィリアムロッキーの別注ボーダーセーター、美味しいですよ。

という事で明日は今日に比べれば随分と気温が下がって落ち着く様です(それでも夏日予報なんですけどね)。連休最終日、沢山の皆様のお越しをお待ちしております。是非遊びにいらして下さいませ。
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Posted by mercier at 21:25:00 | from category: Main | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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