September 19, 2018

世論への配慮とあるべき姿との乖離


日向に出ると日差しは暑いのですが、日中でも日陰はとても快適。つまり晴れているのに気温はそれ程高くない、という事です。また週末にかけて暑くなる、という事ですが取り敢えず秋冬に向けて納品が本格化します。このところの新作紹介のタイトル、晩夏初秋の新作紹介というのも秋分の日迄にして、そこからは秋の新作紹介とする予定です。

さて。なんかファッション関連な話というにしては仰々しいタイトルで、このブログのメインカテゴリで書く内容じゃないんじゃないの?と思われるかもしれませんが。

どうしてどうして、そんな事はありません。秋の新作として紹介するべく引っ張っていますが、今月入荷しているこの秋冬のスペシャルなアイテム2点について、そのコンセプトというか何故にそんなスペシャルなアイテムをバイイングしようと思ったのか、というのに繋がる話なので、秋の新作紹介としてそれ等の新作を紹介する前にぜひとも書いておかないと、という内容なのでお付き合い頂ければと。

これ丁度タイムリーにバーバリー社のニュースが最近出たので。バーバリー社は売れ残ったアイテムをブランドイメージを損なわない為に焼却処分していた事が何故かニュースに取沙汰されました。その良し悪しは別にして、そんな事はバブル以前からバーバリーどころか我が国ですとDCブランドブームの頃からアウトレットという在庫の一次処理方法が確立する迄は常態化しておりました。しかしその自社で損失計上して焼却処分をすると、見た目としてよろしくない。そこで考えだされたのが関連会社だけどアウトレット販売をする別会社を作って、そこに格安で商品を卸してしまうという方法を取る様になりました。時期が来たらまずセールを行い、更にファイナルセールを行い、そこで残った物を定価の3割程度でアウトレット販売会社に卸します。原価が2割程度ならそれでも赤字にはなりませんよね。売れ残った在庫を全てアウトレット販売会社に移す事で本体は損失計上せずとても綺麗な経営状態に見えます。

でもこれ、単に100%子会社なのに別会社というアウトレット販売会社にその在庫を移しただけ。定価の3割で仕入れて定価の6割でアウトレット販売し、それでも原価率は50%ですから、そこでもセールをして残ったら今度は損失計上して最後はやはり税務署立ち会いのもと焼却処分しています。焼却でなければゴミとして販売出来ない形にして業者に渡すとか。どちらにしろ処分しているのですから同じ事なのですが、自社ではやっていないという事で見映えが良いと言うだけです。単にバーバリー社はアウトレット販売する事すらハイブランドとしてイメージの低下に繋がるという判断の下、自社の顧客に対するセールの後に焼却していた、というだけの事。

一見これ、じゃぁ恵まれない人に寄付しろよとか思うかもしれませんが、寄付しても贈与税等が製造原価で換算されてしまいますし、残してそれが市場に流れるという事に変わりはなく、それじゃブランドイメージは損なわれるので同じ事です。出なけりゃ吊るしの服なんて止めて全てオートクチュールにでもしないと成り立ちません。

しかし今更それを突いてみる、かつての悪質な経済雑誌みたいな手法をネットでやっているだけの事なのですが、それによるイメージの低下の懸念にナーバスに反応して、焼却処分を止めるだけじゃなく、+イメージを作り出すべく狂信的な動物愛護団体やそれに安易に迎合する衆愚的世論の受けが良さそうな毛皮使用を全面的に止めるという声明を出しました。

でもどうなんでしょう。使わなけりゃ良いってもんなんでしょうか。

ここ迄書いてきたのは我が国でもかつて経済ヤクザが常套手段としていたある事ない事タイトルにした経済誌を電車の中吊り広告とかで広告するよ、それされたくなければ雑誌を全て買い取ってね、という強請の手法と同じ様な今更なネタをさも大事の様にネット配信した事に対する、かのバーバリー社の対応についてでしたが。

ここからが本題。いや本題迄がえらく長くついてしまいましたが。

焼却処分の話はさておき、毛皮の全面的な不使用というのはどうなのか、という事。この毛皮不使用の活動をしている中心的な団体はベジタリアンな方々です。その方々は実際植物以外食べていないんですからそんな主張をしているんでしょうけど。でも多くの人は肉食べてますよね。それが飼育された鶏や豚や牛であっても。鶏の羽根は全く利用されていませんが、豚や牛の革は使われています。理屈としては食用に命を奪っているのだから使える限り有効利用しましょうという理屈です。

人類はその発祥の頃から狩猟採集によって生きていました。それが故に生地を織る技術が確立する迄は植物繊維を編み動物の皮や毛皮を鞣し衣服としていました。技術が発達してもう動物を殺さなくても衣料品を作れる様になったのも事実だし、確かに毛皮を取る為に野生の生き物を殺す、食用に供されない動物を毛皮を取る為だけに飼育するもしくは捕獲して殺す、というのを止めましょうというのは全く非の打ち所のない主張です。がしかし。豚や牛の皮を革として使用するのと同じで、理由があって殺されてしまった動物の革や毛皮を有効に利用する、というのは命に対する敬意があるのならこれまた当然の事だと私は考えます。

で、ベジタリアンと主張する方々、農作物を荒らすという理由で駆除されてしまう鹿や猪の革や毛皮、これどうします?
そしてそこ迄じゃなく普通に魚や肉を食べている人、漁業被害をもたらす為に駆除されてしまうアザラシやトド等、これ等の革や毛皮もどうします?
フォアグラを摂る為だけに殺されるよりも肉も食べて羽毛も使ってあげた方が鵞鳥の命を有効に使った事にならないでしょうか?

鶏は良くて鵞鳥は可哀相とか、豚や牛は良いけどウサギやモルモットは可愛いから駄目とかそういう理屈も私は納得出来ません。フランス人はウサギも鳩も食べますし、ペルーの方々はモルモットを食用の家畜として飼っています。もし食べるのならその毛皮を使ってあげた方が全てを有効に活かした事になると思います。

鹿や猪も殺すだけで肉を食べず革や毛皮を使ってあげない、アザラシやトドだって毛皮が使えるなら使ってあげないというのは徒らにこちらの都合で命を奪っただけという事になりゃしませんかね。

毛皮を取るだけの為に動物を殺すのは止めましょう、というのは大いに賛成です。でも人間の都合で駆除されてしまった動物の革や毛皮は有効利用してあげる事は、その結果収穫された植物を食べている人としてもすべき事だと思うのです。

私はそれこそが毛皮や革に対して人が取るべき姿勢だと確信しております。全ての動物を一切殺さずに済む事になれば、その時は毛皮を使わないという主張もありだと思いますが、もしそうなると恐らくこの地球上は食物連鎖の中淘汰されるはずだった動物で溢れ植生は荒れ本来の自然の姿は失われるでしょう。

使わない、確かにそうすれば命に関わる事はないでしょうね、服としては。でも結局殺した物を食べている、植物を食べていても駆除している動物達がいる、その事実から目を背けて毛皮批判をしても始まりません。全て無しではなく命を慈しむ革や毛皮の使い方を模索する方が良い、と私は思いまして。

今シーズンはそういう姿勢をセレクトに盛り込んでおります。

ふう、漸く結論に至りましたw

という事で秋分の日以降の新作紹介、既に店頭には並んでいる物が多いですが、秋になる迄紹介を引っ張っている物の中に今シーズンは害獣駆除で獲られた動物の毛皮、第三世界で食用とされた馴染みのない動物の革を使用したアイテムがあります。

新作紹介の中で書くと、この様に長くなってしまうので、それ等を取るにあたってこんな事考えて取ってますよ、という考えを書かせて頂きました。随分と長い布石になってしまいましたがw

では秋の新作紹介をお楽しみに。

明日は展示会廻りが1カ所2カ所なので、サラッと廻って帰ってきてブログ書く予定です、商品紹介を予定していますのでそちらもご期待下さいませ。
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Posted by mercier at 20:35:00 | from category: Main | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
Comments

浪漫:

この話題に一言申す洋服屋があるとは思っていませんでした。
概ね同意で、私も同じことを感じていました。
バーバリーを擁護するわけではありませんが。

ちなみに、現在バーバリーの40年代ウォーキングマックを探しております。
(September 20, 2018 11:20:31)

mercier:

そもそも私はオリジナルを作るにしろバイイングで何かを取るにしろ、お客様に提案する物は適正価格=定価として認識しております。

そりゃね、安く買えればお得感もあるし実際対価として払っている金額は少なく済んでいますが。

最初から安く売る事を前提に定価を設定するなんて売れ残る事を前提に本来ならそのブランドやお店を支えてくれている最も大事にしなければならない顧客様に対し失礼極まるし、その大切なお客様に錯覚をさせて取れるところから取ろうという発想なので、浅ましさもかなりなものだと思っております。

その錯覚させるシステムがブランドイメージであり、それを維持する為に焼却処分するなんてのは、毛皮を使わずエコだなんて上っ面のアピールじゃ埋まらない、根本的に資源の浪費でしかありません。

なので焼くのは仕方がないなんて事はわたしは思っておりません。でも今更だし、そういうビジネスモデルそのものが批判されるべきで、それは別にバーバリーに限った事ではない、日本の大手アパレルの大半がやっている事だと、氷山の一角でしかないという事です。

ま、今回はそれよりも革や毛皮の使用の賛否について書きたかったので、焼却処分はオマケなんですけどねw
(September 20, 2018 13:14:51)
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