April 01, 2018

春の新作紹介 vol.5 WISLOMのHEMD SERGE 3.0


今日はエイプリルフールですから何かそれっぽい嘘を書いてみる、というのも考えたのですが。どうにもこれだっ!というのが思いつかなかったので今年はスルー。あ、それはスルーですけど嘘じゃないネタが1つ。以前苦労してシステムを構築したのに、生産工場が火事になって1度だけしか出来なかった、パンツのパターンオーダーがあったのですが。日本でやると高くつくから中国のオーダー専門工場を使い、内装に凝ってパターンオーダーとはいえ、シルエットはほぼ自由に選べる上に、価格もこなれていて実用性と生地感を両立した生地での提案が出来ていました。取りあえずパンツから始めてジャケットとスーツも、と思っていたのにまさかのアクシデントで1からまた発注先を探すところから始めなければならなくなり、暫くは萎えていたのですが。何とか秋冬迄に発注が出来る様にと思って昨年末頃から動いていました。それがここにきて結実しそうな感じでして。かなりパワーアップして色々出来そうなのですが、その辺については後日経過を書かせて頂きます。

とまぁセンスの良い嘘がつけなさそうなので嘘じゃない話を書かせて頂きましたが。本日は予てからタイミングを伺っていたウィズロムのスプリングコートの紹介です。以前紹介しているナイロンデニムのパンツもでしたが、今回紹介するスプリングコートもまぁ語る事の多い物なのです。

生地について語るのは後にして、ディテールとしてとても完成度の高いスプリングコートでして、身頃はウェストをドローコードで絞れる様にしているので絞らない状態ではそこ迄立体的にはしておりませんが。それでもきちんとサイバラのパーツを取っているので、寸胴なボックスシルエットではありません。背中側にはヨークがあって肩周りのフィットはシャツに近い沿い方に。更に肩甲骨の下辺りにダーツを取って背中から脇へのフィットも調整しております。センターベントは深めに取っていて足捌きを妨げません。アームは2枚袖を基本にしていますが後側のパーツを肘のところで分割し、ナツメ型にカーブを付けて縫い合わせる事により、腕の振りと肘の曲げの良さを両立させております。

ポケットも充実していて外は見ての通りで3つ、そして内側にも3つのポケットが装備されております。首元にはチンフックもあり、春らしい薄手の生地ですが、スプリングコートとしての実用性もしっかりと担保されています。

さて生地のお話。この型に対して4種類の生地が設定されておりました。春物ではあったのですがそのうち2つは先に秋冬でやったスーパー140'sのウールで作った縮絨を繰り返した生地でしたので、春物として提案しても悪くはない生地厚(前回はシャツジャケ型でやりました)ではあるのですが、色が黒無地と同じ黒ベースのストライプだったので、春という事で却下。もう1つはアッシュグレーで色は良いのですが、強撚糸を高密度に織った薄手のベンタイルクロスみたいな生地でした。それはそれで日本でここ迄やっている生地はないだろうな、という物ではあるのですが今回選んだHEMDと命名された生地の蘊蓄がこの上なく私好みなマニアックさので、それにする事に。

まずこれ、原材料たる綿の出自から始めている凄まじさで。インドに古くからある超長綿であるスジャータ種と通称シーアイランドコットンであるヴィンセント種を交配する事で生まれた、それぞれの良いとこ取りをした品種、スジャータの“ス”とヴィンセントの“ビ(ヴィ)ン”を組み合わせたその名もスビンゴールドという品種と、米綿の超長綿品種であるスーピマを50%ずつ混綿させる事で、光沢感としなやかさ、程良い張りとコシを持った糸を作り、撚った糸を撚った糸を出口から出してすぐ二本を縒り合わせて双糸にする、精紡交撚という本来は紡毛糸を縒り合わせる際に毛羽を少なく最に使われる製法で仕上げる事で、タダでさえ毛羽の少ない超長綿の糸をこの上なく滑らかな表面に仕上げた、究極のコンパクト糸を作っております。それを使って織った生地をアンモニア液に浸ける加工を施し、それによって繊維の歪みを解消しふっくらとした弾力を持たせております。

これってこうやって説明出来ないと通常の綿の薄手の生地との違いが伝わらず、単にツルッとしてそれでいてフカっとした良い生地だね、で終わっちゃうし、説明書いてもかなり専門的な話になってしまってなかなか伝わらないのですが、それでもそこ迄やる、というのはウィズロムならではです。そしてウィズロムのコレクションが全体的に黒やグレー等ダークな色で構成されているので、春なのでそれっぽくという事で今回は白ベースにブルーのマルチストライプという生地になっております。私としてはこの生地がやりたかったので、他の型でも丁度良いのがあれば、と思わなくもなかったのですが、この生地でプルオーバーのクルーネックの半袖を作っても24,000円という設定だったので。だったら春らしいアウターでもありますし、スプリングコートの方がまだ価格的に説得力があるな、と。ちなみに69,000円(税抜)です。汎用性もコートの方が高いですし。まぁこれ、黒じゃなくてネイビーとかベージュとかの無地という配色で作ってくれれば更に使い易くはあるのですが、それだと今度は他にも綿のコートはあるよね、という事になってしまいます。このマルチストライプというのは、ウィズロムでなくてもなかなかやらない、特にアウターではやらない配色だと思いますので、だったらこれを提案してみようと思いました。

サイズは写真の物は4で、4と5があります。基本MとLだと思って頂いて問題ないでしょう。ここ迄生地もディテールも作り込んだスプリングコート、なかなかないです。そしてそもそもがスプリングコートというのは、持っている方が少ないアイテムでもあり、そういうのでここ迄作り込んだものをサラッと着ていたら素敵だと思います。今シーズン最も作り込まれたアウターとして提案させて頂きます。

ふう、いやぁ、毎度の事ながらウィズロムは語る事が多い多い・・・・でも書き終えてなんかやり遂げた爽快感の様なものがある(笑)のもウィズロムならではです。今シーズンはパンツをもう1型、そして初となるカットソーもあります、既に投入されているパンツはもうかなり数を減らしております、近々紹介致しますのでお楽しみに。
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